「広島ではお墓参りの時に盆灯篭を持ってお参りする」という風習があるのです。
でもこれって他の地域でもありなの?と疑問に思ったりしませんか?
広島市内のお墓はお盆の時期は竹で作られた朝顔のような形でカラフルな赤、黄、青の色紙が貼られて七夕飾りのような装飾が施された盆灯篭で飾られて華やかになります。
県外から転勤してきた同僚に
「これはどういう時に使う物で、どういった風習があるのですか?」
と聞かれたのがコンビニで販売されていたお墓にお供えする盆灯篭なのです。
著者も転勤で各地へ住みましたが、そういえばお盆の時期はこの形の盆灯篭を見かけなかったですね。
これは広島県西部だけの風習だったのですね。
盆灯篭はどこで売られているの?
いつから飾られるようになったの?盆灯篭の由来は?
どこで作られているの?
盆灯篭の形は?初盆では飾る盆灯篭は違うの?
いつ頃から飾られるようになったの?
様々な疑問だらけの広島の盆灯篭についてご案内します。
目次
盆灯篭はいつごろから販売?どこで購入できるの?
8月のお盆時期が近くなりなますと、広島市内と周辺のスーパーマーケットやホームセンター、コンビニの店頭で盆灯篭の販売が開始されています。
ごくごく普通に売っているので広島限定の風習って思っていない人もたくさんいるんです。
価格はどれくらい?大きさは?
大きさは1メートル50センチくらい、上部は六角形の朝顔のような形をしていています。
一カ所だけ、完全に貼り付けられていない部分がありますが、これは雨が降った時に中に
雨水が溜まらないようにするためなのです。
名前を書いてお供えするのですが、名前をかくのは開いている部分の反対側になりますね。
価格は600円から1,000円くらいで販売されています。
車でお墓参りすることも多いので大きいのだと積み込むのも大変なので、1メートル以下の小さなサイズの盆灯篭も販売されています。
いつ頃から盆灯篭は飾れているのですか?
広島は安芸門徒と呼ばれる浄土真宗のお寺が多くて、盆灯篭を飾る風習は江戸時代後期から明治時代にかけて広島に広がりました。
盆灯篭がどうして飾られるようになったのか?その由来は?
江戸時代は町民が暮らしの中で釣灯篭や石灯篭の代わりに用いたのが始まりだと言われています。
灯篭を飾る由来と歴史、江戸時代から現代まで
江戸時代、ところは広島藩の八丁堀、現在の紙屋町界隈に一件の紙問屋がありました。
そこに住むとある夫婦には年頃の娘がいました。
ところが、その娘は若くして病で亡くなってしまったのです。
石灯篭を建てたかっのですが、お金がなくて代わりに竹をそいで紙を貼って灯篭を作ったのです。
※余談ですが、広島の街の町名には江戸時代商人や職人が集まっていた場所から町名になった場所が幾つもあります。
広島の中心部である紙屋町、稲荷町、本通りを歩いて足下をよく見てみると革屋町などの戦前の町名が記されている場所もあります。
盆灯篭を飾る習慣は江戸時代後期から明治時代にかけて広島へ広がりました。
一般に売られるようになったのはいつ頃から?
大正時代には市場の夜店の屋台でも盆灯篭を売られるようになりました。
戦時中は紙不足から一時中断していましたが、戦後すぐに復活しました。
1960年代からはお花屋さんやスーパーマーケットでも売られるようになりました。
盆灯篭の役割は何?名前はどこに書くの?
盆灯篭はお供えとして献上するもので、卒塔婆の役割も果たしているのです。
親族がそれぞれ持ち寄るので、盆灯篭の溜まった雨水を逃すために開けられたひらひらした窓のような部分の反対側の位置に「上〇〇」と献上した人の名前を書くのです。
そのままお供えしていいの?預ける場合は?
お墓参りに訪れる人がそのまま立てて帰ったり、親戚のお家に供えてあげてくださいね、と預けるものです。
著者も小学生くらいの頃はいとこたちとお墓参りに行くというのは盆灯篭をだれが持つのかとワクワクする出来事でもありました。
男の子たちは「僕が持つ」とワイワイガヤガヤ、お墓参りのあと冷やしたスイカを食べるというのが恒例でした。
盆灯篭が登場している映画やアニメはありますか?
漫画家である、こうの史代さんの描かれている「この世界の片隅に」でも、原作では単行本上刊に収録されている「大潮の頃」の作品では昭和10年8月のお盆の時期に祖母の家でお墓参りへいく場面で盆灯篭が描かれています。
アニメ化された同名の作品の中でも登場していますね。
2018年7月15日から放送されるTBS系列の同名のドラマでも登場するかもしれません。
2007年に公開された映画「夕凪の街、さくらの国
では堺正人さん演じる石川旭が墓参りをする場面でも盆灯篭が登場しています。
中断されていた時期があるのですか?
第二次大戦中は紙不足などから盆灯篭作りを自粛していましたが、終戦後はすぐに復活。
翌年のお盆には広島の街のお墓は白い紙の盆灯篭で埋め尽くされました。
元は浄土真宗のお寺で行われていた風習ですが、現在では広島の盆飾りとして定着していますので各地のお寺の墓所で盆灯篭をみかけますね。
灯篭を飾らないお寺などもあるのですか?
お寺によっては何千本という単位で焼却などの処分をしなければならないので最近では盆灯篭を飾ることを自粛してほしいというお寺も出ています。
では何をお供えするのですか?
近年、コンビニなどでも見かけるようになったのですが、「南無阿弥陀仏」と書かれた
木のお札をお供えするようになっているようです。
車でお墓参りをするとなると、持ち運びは楽なのですが、風情がなくなりますね。
まとめ 地域によって違うお盆の風習
長崎では「精霊船」と呼ばれる船を山車のように引いて廻ったり、愛知では初盆に切子灯篭と呼ばれる華やかな灯篭を飾ったりするのです。
お盆の風習って、地域によってかなり違うのですね。